煙草や薬、おもちゃなどを飲み込んだり、喉に詰まらせたりする誤飲事故が後を絶たない。
自然に排泄されることがほとんどだが、時には中毒や窒息など生命を脅かす危険性もある。
予防策を講じることはもちろん、いざという時の対処法も知っておきたい。
千葉市の日本赤十字社千葉県支部で、子供の誤飲について学ぶ講習会が開かれた。
参加した和泉弥生さんの長男は生後5か月。
まだ自分から動き回ることはないが、毛布や服の袖などを口に入れ始めたという。
国民生活センターによると、2000年4月から05年1月までに、全国20か所の協力病院に寄せられた誤飲事故は計2714件。
多くは自然に便として出たり、吐き出したりして軽症で済んでいる。
しかし、3歳の男児がボムボールを喉に詰まらせたことが原因で亡くなった例など、生命にかかわる事故も6件あった。
年齢別では、0歳と1歳で計2000件。
ハイハイなどが始まる生後6か月前後から急増する。
原因となった物は、煙草が最も多く、医薬品、おもちゃと続いた。
誤飲を防ぐにはどうしたら良いか。
日赤千葉県支部参事の秋田真知子さんは「当たり前のことだが、子供の口に入りそうなものは、手の届かない所に置くこと。
薬を飲んだり、煙草を吸ったりする場所は、あらかじめ決めましょう」と話す。
来客があったり、自宅以外に宿泊したりする時など、普段と生活環境が変わるときも要注意。
兄弟がいる家庭では、上の子のおもちゃなどにも気を配りたい。
秋田さんによると、3歳の子供が口を開けたときの大きさは直径約4a、喉の奥まで約5a。
鍵や口紅などそれより小さい物は誤飲の可能性がある。
日本家族計画協会では、このサイズを確認できる「誤飲チェッカー」(1個525円)を販売している。
万が一、異物を飲み込んでしまった時は、まず吐き出させる。
乳児の場合、手で顎を固定しながら、うつ伏せの状態で膝の上にのせ、肩甲骨の間を手のひらの下の部分で5回ほどたたく。
幼児の場合は、頭部を低くして、肩甲骨の間を同様にたたいたり、仰向けに寝かせて肋骨の下あたりを両手で圧迫したりする。
いずれも、子供の口元を確認しながら、少しずつ力を入れていく。
ただ、子供の状態や異物によっては、吐き出させず、病院に行った方が良いこともある。
財団法人日本中毒情報センターのつくば中毒110番(午前9時〜午後9時、029-852-9999)、大阪中毒110番(24時間対応、072-727-2499)では、医薬品や化学物質の中毒について情報提供している。
「万が一の時に慌てず対処するには、知識に加えて体験も大事。
講習会などの機会を積極的に活用してほしい」と秋田さんは話している。